2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

その2

暗闇の中を一人ぼっちで飛ぶというのは恐ろしいものである 離陸後まずは目標を見つけようと周辺を見渡すが灯が点在していて、どれが自分の設定した灯なの全くわからない ヤバいこのままでは機位を失って基地に帰れなくなってしまうのではないか そういう考え…

初ナイトソロ

飛行機は夜も飛ぶ 防府でもナイトフライトの訓練はあったがあくまでも教官同乗での訓練だった 芦屋では数度のナイトフライト訓練の後ソロでナイトフライトを行うことになっていた ソロフライトは教官の怒声という最高のプレッシャーが無いのだから全て自分の…

どうしようもない

高速失速と判断しスティックを引く力を緩め再び引き戻す ドドド やはり失速の兆候だ、もう一度力を緩めるがループを行うために上昇中だこれではループは出来ない おかしい 速度計に目をやるとすでに速度は200ノットを切っており更に針は下がり続けている …

備えあれば憂いなし

その日のソロフライトは天候も良く順調に演目をこなしていたハズだった まずは軽くロール系からエルロンロールにバレルロール よし次はループをやるかと思いやや機首を下げ機速をあげる 現代の戦闘機は機体重量よりも推力が上回るためエネルギーを失いやすい…

繊細かつ大胆に

繊細と大胆は一般的には反対に位置する言葉とイメージされていて両立することはあまり考えられていないと思う しかしパイロットにはその両立が求められている 物事を大体で済ます人間には飛行機を操縦することはできない いずれどこかで事故を起こすことにな…

イーグルアタック

訓練の中に低速時の操縦感覚を養う目的で行われるスローフライトという演目がある ギアとフラップを下ろし失速手前の速度で飛ぶというものだ 通常の飛行中はクロスチェックといって計器と周りの状況を素早く見回しながら飛んでいるが スローフライトの時だけ…

関西人というのは

自衛隊に入ると全国から人がやってくる 出身地は人それぞれ、方言もそれぞれ その中で絶大な影響力を持つのが関西弁だ はじめのうちはそれぞれの方言で話をするが、慣れてくるにしたがって、ほぼ全員が自分の言葉は方言だと気づき標準語(今では死後か)に慣…

そんなことを言われても

管制から離陸許可が下りた 「〇〇、芦屋タワー。クリアード フォー テイクオフ テイルウインド フロムライト ユースコーション」 (cleared for take off use caution) えっ 追い風? その日はソロフライト、しかも追い風で離陸したことは一度もない 正直に言…

そんなこと言われても

芦屋の滑走路はかなり短い それでも大型機の運用には無理はあるがT-1の訓練基地としては不足のないレベルといったところだ 飛行機というものは翼の上面と下面の流速差から発生する揚力を利用して飛んでいる 離陸するときは次第に速度が上がり飛行機が飛び上…

水平線は丸かった?

芦屋での訓練も終わりに近づいたある日の訓練で、コマンダーが突然「ハイハブコントロール(I have control)」 と自ら機体の操縦しはじめた 「ユーハブサー」 コマンダーの意図がわかりかねながらも操縦桿から手を離すと機体は上昇を始めた コマンダーは何を…

続き

Nは付属中学上がりで注意すべき同級生として話を聞いていた 寮の自習室に組の一の子分でNが兄貴と呼ぶ男が土足で 「坊ちゃんは居るか」 と言いながら入ってきたとか 私やNの居る寮はグラウンドを挟んだ校舎の向かい側にある したがって学校から帰る時には見…

準母校

先日テレビで私の準母校があるスポーツの全国大会での活躍を放送していた 準母校というのは母校ではない 同じ敷地に2つの高校があって私の母校の進学校と伝統あるスポーツ強豪校が同じ校舎の中にある 放送を見ながら見ながら思い出したことを一つ 同級生にヤ…