そんなこと言われても
芦屋の滑走路はかなり短い
それでも大型機の運用には無理はあるがT-1の訓練基地としては不足のないレベルといったところだ
飛行機というものは翼の上面と下面の流速差から発生する揚力を利用して飛んでいる
離陸するときは次第に速度が上がり飛行機が飛び上がるために十分な揚力を発生した瞬間に浮かび上がる
それまでは地上に縛り付けられているわけだから滑走を始め滑走路が終わるまでに十分な揚力をえられる速度まで上がればいいわけだ
ただその速度というのは空気が相手であるので風向きによって大きく変わる
その日は待望のソロフライトではあったが気象状況が非常に不安定だった
気象が安定しているときには地球の自転の関係から西から風が吹くので、芦屋での離着陸はほとんどが陸側から海に向かって行う
東風が吹くときは天候状況が悪い時と思っていい
なかなか風向が落ちかず滑走路の使用方向が決まらず、全員イライラしながら待機していたが、風向きが安定し始めたころに訓練を始めることになった
離陸方向はどちらになるかとやきもきしながらも芦屋グラウンド(地上管制)からはつのもポジションに向かうように指示が来た
滑走路に侵入する手前にこれから離陸する航空機が待機する場所がある
滑走路に一番近い場所に止まっているのが離陸の最優先を持つ、いわゆるナンバーワンポジションである
苑でいったん止まり航空管制に離陸許可を求める
「芦屋タワー〇〇ナンバーワンポジション」
それに対して管制が離陸許可を許可する
「ラジャー〇〇、クリア―ドフォーテイクオフ」
そこで初めて離陸できるのだがその日の関係の許可の後に余計な言葉が付いていた
そこでいったん止まり離陸許可を求めるのであるが