イーグルアタック

訓練の中に低速時の操縦感覚を養う目的で行われるスローフライトという演目がある

ギアとフラップを下ろし失速手前の速度で飛ぶというものだ

通常の飛行中はクロスチェックといって計器と周りの状況を素早く見回しながら飛んでいるが

スローフライトの時だけは計器と操縦桿に神経を集めながら飛んでいる

 

その日もスローフライトの訓練に入り飛ぶことに集中していると教官が何やらブツブツという声が聞こえてきた

「ちくしょー、なんだあいつら・・・・人の訓練空域に・・・・くそ」

どうやら何かいるらしいがこちらはそれどころではない、何しろ失速寸前の速度で飛んでいるのだ

その時

ドーン、ゴゴゴ・・・・

1機の飛行機が左後上方から私の乗っているT-1の脇をかすめて左前下方へと駆け降りていった

えっ、あれイーグルじゃね?

 

当時F-15は米空軍の戦闘機でで自衛隊に導入予定されていた最新鋭の機体である

私たちにとって憧れの戦闘機である

何でイーグルが?えっ?えっ?

その時再び

ドーン、ゴゴゴ・・・・

2機目のイーグルが脇をすり抜けていった

 

しばらくして気がついた、よたよた(スローフライトだから当然)と飛ぶ航空自衛隊ひよっこを見つけた米空軍のイーグルドライバーがアタックをかけてきたのだ

恐らくちょっと揶揄ってやるかというところだろう

 

しかし、いくら同盟国とはいえ他国の訓練空域に勝手に入ることなど許されることは無い

 

教官はそれからもしばらくブツブツと何かを言っていたがこちらはそれどころではない、F-15イーグルにアタックをかけられたのだから

それは女の子が憧れのアイドルに声を掛けられたようなものである

その時の私の興奮ぶりは言い表せないものがある

 

地上に戻ったあと俺、イーグルにアタックをかけられたよー

と言いまくったのは覚えている

 

恐らく教官の報告から米軍にクレームは行ったかもしれない

 

今になって思う

当時の米軍は自営隊を舐め切ってたんだなー