理不尽
空の世界には曖昧がない
危険か安全か、出来るかできないか結果が全ての世界である
パイロットを育てるために教官も一方的に学生を叱り飛ばす
今の時代の学校に通う生徒に対する先生のようにどうしたら出来るか一緒に考えるなんてことは無い
此方が何がわからなくて何が悪いのかもわからず、どうすればできるのかわからなくても同情などは一切ない
出来れば褒めるし出来なければ叱り飛ばす
それが当然ではあるが理不尽と感じることになる
一人の教官が2人の学生を担当し、先に訓練を終えた学生は機体を降り次の学生が乗り込むまで教官はコックピットに乗ったまま次の学生が乗り込むのを待っている
その日は私が先に訓練を終えてコックピットを出て翼の上に乗ると
「おい、ヘルメットを外せ」
と教官が言った
「頭を出せ」
お辞儀をするように前に頭を出すと
バコーンと頭に衝撃を受けた
教官を見ると手に二―ボードを持っている。二―ボードとは飛行中にメモをするために太ももに縛り付けている金属製のボードだ
痛てーと思いながら教官に説教を受けたのだが、教官が二―ボードをなかなか付けれないでいた
そして最後に教官が言ったのが
「見ろ。お前のせいで二―ボードが壊れたじゃないか」
教官殿、それは違うと思います