思いっきり怒られる
ソロフライトを重ね自信もつき始めた時の頃の話
その日もソロフライトのミッションを終えてブリーフィング室に行き椅子に座っていると、部屋に入ってきた教官が私ともう一人の学生を立つように命令した。
その表情はかなりの怒気を含んでいるが心当たりはない。
「お前ら今日何をした」
???
そんなことを言われても思い当たる節は無い。
何をしたと言われても指示された訓練をする以外に出来ることは無いのに何故そんな質問をされているのか理解できなかった。
それでも教官は私たちを責めるが此方は戸惑うばかりである。
「お前ら話し合ってただろう」
そこで思い出した
訓練空域に向う途中、もう一人の学生がら
「おーい〇〇(私の名前)どこに行くんだ」
と無線が入った。
日本の航空機の通信は英語が基本である。よほどの緊急時でなければ日本語で通信することは無い。
いきなり日本語での問いに思わず
「訓練空域に行くけど?」
と日本語で答えていた。
事の始まりはこうだった。
訓練中の通信は常に地上でモニターされている。
そのことが私たちの通信を聞いていた教官はソロフライトであることをいいことに、空中戦ごっこをするのではないかと思わせたのだった。
もう一人の学生がそのようなことをしたのは、訓練空域は隣り合っている。
それまで緊張しながら教官と飛んでいたのが急に一人になって余裕が出てきて、いつも近くを飛んでいたはずの私を見つけて近くにいることを注意したかったらしい。
パイロットは英語を話すことができると思っている人は意外と多い様だ。
しかしパイロットが使うのは航空英語で通常使う単語は少ないし、やり取りのほとんどは定型である。
ひよっこの私たちなどこんなものである