ひっそりとファイナルチェック
ある日のこと訓練を終えてしばらくするとその日同乗した教官から呼ばれた
そこには普段温厚で怒ることも無い飛行隊長が厳しい表情をして教官と一緒にいた
これから飛行隊長と一緒にフライトシュミレーター(今はシミュレーターと言うのだろうが当時はシュミレーターと言っていた)に乗れ
私の頭の中は疑問で一杯になった
よほど教官だ足りない状況でなければ飛行隊長が学生と乗ることは無いし、おまけにフライトシュミレーターとはどういう事だろう
実機とは違い趣味レーターなのでただ飛んで降りるだけなのだがなんの意味があるのか
そんなことを考えながらシュミれーた訓練が始まりしばらくしたころに飛行隊長がすさまじい剣幕で怒り出した
お前は速度も守れないのか!
もちろん私は速度をきっちり守っていたつもりだったが飛行隊長から言わせるとかなり適当になっているのだ
その当時の速度計はアナログである
速度計の盤面には速度を細い戦で表示してあり、速度を表す針が刺したところが現在の速度である
飛行隊長曰く
盤面の線も針も針もどんなに細くても必ず厚みがある。決まった速度を守るという事はその線の中心と針の中心をきっちりと合わせることだ
それまで一度もそんなことはかんがえたことは無かった
線と針を合わせるのではなく線の中心と針の中心を合わせて初めてその速度といえるのだと
自分の性格を大雑把と言ったがそれを悪く言うと適当となる
つまり私は適当な人間だったわけだ
意識してやればそんなことは簡単なのだがそれが出来なかった、いややらなかったことが問題だったのである
シュミレーターを降りるといつもの飛行隊長み戻って優しく注意を与えて訓練は終わった
後から教官が私に実はファイナルチェックであった事を教えてくれた
ファイナルチェックから戻ってきたものはごくわずかである事は以前に書いた
飛行隊長はワイネルチェックであることを告げて実機で行えばプレッシャーで私がうまくやることは出来ないだろうという親心からシュミレーターで行ったようだ
感謝しかないが私にも思うところはあった
自分の性格はパイロットとしては性格に問題があり、いずれ事故を起こして死ぬのではないかと