生まれたのは漁業の町。かっては日本有数の漁港という歴史のある町。

小学生の頃の遠足と言えば海。山に遠足なんてことは一度もなかった。

そんな海に囲まれたところでも小学校で6回も遠足があればいくところも無くなるというもの。

6年生での遠足は目的地も教えられずただ歩くだけ。先生に聞いてもただ黙って歩けと言われるだけ

 

1時間も歩いただろうか、着いた先は学校から歩いて5分の海岸。校舎の2階から見ればすぐそこにある海岸だ。

その日は現地解散で家に着いたのは10分後。

まさに田舎だ

 

その代り海はきれいだった。海産物は豊富で漁協の水揚げ場には漁から帰ってきた船から水揚げされた魚であふれかえっていた。

魚は無限に取れるものだと誰もが思っていた。

 

中学2年の遠足は相変わらず学校から程よい距離の海岸だった。

出発前の荷物のチェックの時だ、隣にいた友達の弁当が御飯だけなのに気が付いた。

「お前。おかずは?」

「ああ、ウニを採って食べるからいい」

 

いま思い返してみるととんでもない話だ。遠足でご飯だけ持って行って現地でウニを取ってオカズにするという。

その友達は実際に弁当の時間になると岩場に行きウニを採ってきて箸で器用に割るとおいしそうに食べていた。

 

いい時代だったのか