村上英士と源田実 その2
民間の飛行クラブが源田実のもとに陳情を行ったのは正解である。
当時の航空自衛隊の中で源田実に逆らえるものなど誰もいないはずだから。
しかしながら自衛隊と民間で共用するためにトラフィックを別にするには大いに問題がある。
着陸するためには風下側から風上側に向かって侵入するが、その前にいったん滑走路を横目に見ながら1000ft離れたところを風上側から風下側へと飛ぶいわゆるdown wind legがある。
浜松基地の滑走路は東西に向いているのでdown wind legは必然と北か南に設定することになるがそこに問題が出てくる
浜松基地の北側は気流が乱れやすく危険なのである。
私も1度だけ航法訓練の帰りに北側から飛行場に侵入したことが有るが、いなさ湖上空に差し掛かったあたりで乱気流に巻き込まれ
頭をガツンガツンとキャノピーにぶつけながら必死でスティック(操縦かん)を抑え込んだことが有る
もちろん源田もそんなことは充分に知っているはずである。それを承知の上で自衛隊側は北側にトラフィックを設定して民間に飛行場を使用させるように要請してきたのである
そしてついに源田が浜松基地へと乗り込んできたのである